銭湯は極小老舗商売。小さな商売だし、あんまりお金ない。
だからと言って何もしないとジリジリしんどくなる。
困ったときは長所伸展、店の強みを伸ばす。
そしてお金ないから、できる範囲でやる。
つまり施工はほぼDIY。
長所を伸ばして、お金も極力かけない。
でもちゃんとそれなりの結果につなげる。
神戸の店「湊山(みなとやま)温泉」は、これを実践した。
何をしたか。
湊山温泉は水風呂が大人気。理由は自慢の温泉が贅沢にかけ流しで注がれる、「天然温泉(温度は26度くらい)かけ流しの水風呂」だから。
利用者が順番待ちになるほど。
でもこれ言い換えれば、水風呂が狭くて、入ろうにも常に順番待ちしなきゃならないってこと。温泉かけ流しは長所なのに、それが不満に直結してしまっていたのだ。
長所は伸ばす。これ基本。崩しちゃいけない。単純に水風呂をでっかくすればいいが、それだとお金がかかる。
ザックリ150~200万(税込)以上。うむむ、しんどい。
ならばDIYで投資抑える。
DIYで水風呂を増やすとかできるのか?
できる。そこは知恵と工夫だ。
コツは開き直ること。
浴槽は安い樽(5万円/個)を買ってきて浴場にボンっと置くのだ。

かけ流しなんだから貯水(貯温泉)タンクに塩ビとかホースを突っ込んで、小ポンプで樽に流し込むのだ
(【注】ドバドバ流すと下水代が跳ね上がる為調整してかけ流す)。
店のウリ、源泉かけ流しとした。もちろん配管はDIY。
追加でバスリブ(4万円)を楽天で買った。
文字通り浴場にドン!ドン!と置く。既存の水風呂とあわせ、
樽2つ + バスリブ1つ + 元々の水風呂 = 合計4つの水風呂

既存水風呂とあわせて4つの水風呂!
お客さんの順番待ちはほぼ解消。
温泉かけ流しという長所が、長所として活かせれるようになった。
客数が強烈に増えたとか、売上がすごい伸びたとかじゃあないけど、ジワジワとお客さんの満足度アップにつながってる。
そして狙い通り「地域内で一番」のアイテムを浴場にゲットした。
水風呂を4つも持ってる風呂屋なんてない。ある意味オンリーワン。
オンリーワンになれば、そのうち勝手にクチコミされ客数は増えていく。
店の長所・強みを活かしたオンリーワンなら効果てき面。
金ない、狭い、リニューアルできない、ではなく、こだわらずにせっせと手足を動かす。店の雰囲気は停滞せずメリハリが保たれる。
結果、強みがさらに強くなり、お客さん喜んで客数増える。
こういうの、極小商売ならではの動きだと思う。
おすすめなのだ👌
おしまい
★★ 極小老舗(ごくしょう・しにせ)商売とは ★★
50年以上、100年以上の老舗の商売。探してみると結構ある。それも夫婦とか家族でやってるような小さな商売。駄菓子屋さん、八百屋さん、 豆腐屋さん、まちの食堂さん・・・。銭湯もそのひとつ。これを極小老舗商売と呼ぶ。世界中の極小で老舗な商売が元気を取り戻せば、日本や世界にとって良い事いっぱいなのだ。【 真神 友太郎(まがみ ゆうたろう)】