極小老舗商売が元気になると、世の中に良いこと増える。
何といっても「こんな店が頑張れるなら!」と皆に勇気と希望を与える。
今回は「風呂を持ち出す」って話。
前回、前々回のブログは、壁や天井で売上をつくる事例だったが今回はより風呂屋らしく、「風呂をテイクアウト」する取り組みを紹介。
僕らは極小老舗商売の銭湯をやってる。そして銭湯が風呂客だけで存続できる時代は終わりを迎えつつある。
人口多い都会の銭湯ですら、ジっとしてるとジリジリと客数は減る。
商売だから、メリハリつけねばお客さんに飽きられて客足が遠のくのは当然といえば当然。でも日本の人口減のスピードは結構速い。やはり工夫が必要なのだ
風呂屋がいかに小さい商売といえど、新しい需要を喚起し、些細ながらも新サービスはつくるのは大事なこと
今回紹介するのは「お彼岸泉(おひがんせん)」。ズバリ、「お彼岸のこの時期、ご家族の方に故人が生前大好きだった温泉を仏壇に供えてもらう」という目的で販売開始した、袋詰めの温泉だ。
これ結構売れる。お彼岸時期の3月・9月に売上が数万円増える。仕入れ原価はペットボトル除いてほぼゼロなので粗利益もそこそこ出る。
他に盆と正月の墓参りに使ってもらったり、じーさんばーさんの命日に「あの世でゆっくり温泉つかってな」とやはり仏壇に供えてもらうことだってできる。むしろ毎月販売してもいいぐらい。
ここで大事なことは手間をかけない、作業負担が少ないってこと。
極小老舗商売は夫婦でやってたり、数人でやってることが多い。新商品、新サービスが大事とは言え、準備が毎回大変だったり、毎回の作業量が跳ね上がったりすると既存サービスに影響が出て本末転倒。
その点、お彼岸泉のような商品販売は、袋詰め&ラベル貼りしたら、あとは番台に並べるだけ。準備の労力は最小限。いつものサービスや作業への影響はほとんどない。こういうのってメチャクチャ大事なのだ。
お彼岸泉には、もうひとつ利点がある。
普通、風呂屋というサービスはお客さんに来店してもらって初めて成立する=売上がたつ。風呂屋なんだから当然だけど、
今やデリバリー、ネット通販、テイクアウトが当たり前の時代に「来店してもらわないと売上たたない」ということだ。これだけだと今の時代に結構ツラい。
老舗商売といえど、この時代の潮流に無関心でいるよりは、流れにあわせる部分をもつほうがベター。その意味で風呂・温泉を店外に持ち出せるサービス「お彼岸泉」は大きな価値がある(あと、店外に持ち出してもらう事で広告効果もけっこうあるはず)。
どうだろう。小さな商売、少ない人数で切り盛りする商売でも、あまり手間をかけずに新たな売上をつくる方法はまだある。
こうやって極小老舗商売がまた少しづつでも楽になったらいいと思う。
おしまい
真神 友太郎(まがみ ゆうたろう)
★★ 極小老舗(ごくしょう・しにせ)商売とは ★★
50年以上、100年以上の老舗の商売。探してみると結構ある。それも夫婦とか家族でやってるような小さな商売。駄菓子屋さん、八百屋さん、 豆腐屋さん、まちの食堂さん・・・。銭湯もそのひとつ。これを極小老舗商売と呼ぶ。世界中の極小で老舗な商売が元気を取り戻せば、日本や世界にとって良い事いっぱいなのだ。【まがみ ゆうたろう】