銭湯の経営を引き継ぐ。これ廃業した形のまま再開できれば、廃業→すぐに再開は可能。ただ廃業した姿のまま再開できる事って少ない。
理由はシンプルで、これは廃業した原因と直結している。銭湯が廃業する理由はいろんな人が様々述べてるけど、突き詰めればひとつ。
ズバリ、儲かってないからなのだ。よく聞く廃業の2大要因。後継者不足と施設老朽化もこれで説明がつく。
「後継者がいない」 ➡ 儲かってれば家族・親族が後継者になってくれる
「施設・設備の老朽化」 ➡ 儲かってれば投資して設備は新しくなる
客数が減り、売上が下がり、利益も下がり、キャッシュが減っていく。一定の水準を下回ると資金ショート。こうなると銭湯経営どころじゃなくなる。「ない袖はふれず。ただ去り行くのみ」で休業・廃業となってしまうのだ
銭湯は小規模事業とはいえ、市場原理・市場競争の影響はやっぱある。廃業するところもあれば、逆に勝ち残るところもある。
廃業するのは、客数、売上、資金力など総合力がエリア内で弱い方の銭湯。
総合力が劣ってたから廃業した銭湯。引き継いでそのまま即座に再開したらどうなるか。
そう、自分たちより強い数多の銭湯がいる土俵に、残りHP「1」みたいな状態で再び上がるようなものなのだ。
「お、また土俵に戻ってきたか、よしきた。
ハッケヨーイ、残った! ドン! 再び『死』みたいな。」
儲かってないから廃業した銭湯。儲からない形のまま蘇生させてはいけない。丸腰じゃあダメなんだ。
だから銭湯を再開させるときは、苦しくとも多少時間かかっても、廃業時のままではなく健全な状況に戻す必要がある。
健全な状態に戻すには、資金投入が伴う。わが社の場合、まぁ借金することになる。ただこの借金、壊れた設備を直すとか、仕方なく借りるとか、そんなネガティブなものじゃあない。
廃業で世間から消滅するかもしれなかった銭湯を活性化し、再び地域とともに長い歴史を歩むための積極的な借金だ。少々いやらしい表現をすれば客数売上を伸ばし、利益キャッシュを生み続けるためでもある。
お金には「死に金」と「生き金」ってのがある。未来へつながらないお金は「死に金」。だが、こういう生きるための借金、言い換えればワクワク未来のための借金は、金の中でも「生き金」だ。
生き金のための借金。銭湯というものには投入する価値はあると思う。きっと何倍もの生き残るパワーとなって帰ってくるはず(ニヤリ)
真神 友太郎(まがみ ゆうたろう)