■ガス代、電気代とかが払えない・・・

東京の銭湯とはいえ、もともと戦時中、日本軍の浴場施設として産声をあげたのがうちの銭湯。軍の飛行場の中に位置し、戦後は施設を日本陸軍(正確には建物の所有は当時の大蔵省)から銭湯を譲り受けたものの、周辺は広大な軍施設のまま。

今でも周囲に民家は少ない。
(代わりに何十ヘクタールもの空地や公設公園、自衛隊敷地がある 泣)

「え?東京でしょ。なんだかんだで周りに人住んでるでしょ?」と
よく言われるが、調べるほどに悲しくなるような人口規模。
そんな中での経営だけに、客数と売上は圧倒的に足りてなかった。

ただコストは違う。

銭湯経営を志す人がいるなら知っておくべきだが、その特徴としてお客様が多かろうが少なかろうが、
電気代や燃料代といった光熱費は、ほぼ変わらない。これが何を意味するか。

例えば台風で一日のお客さんがたった一人だったとしても、逆にいい感じの天気で100人だったとしてもその日の光熱費はほとんど同じ。

つまり、客数が全然増えずに月の売上がどんなに小さくかったとしても、翌月に支払わねばならない
燃料代や電気代は容赦なく冷酷に分厚い金額で請求されてくるのだ。

「まずい、このままじゃあ10日後の支払い期日までに現金が足りない!」

そう、いわゆる資金ショートってやつだ。

光熱費どころか、パートさん達への給料も払えない!
そんなことになれば、再生に向けてスタートしたばかりのこの銭湯は、またあっという間に廃業・倒産…。
いったい、どうすればよいのだ!

(続く)