■ 銭湯が草野球レベルって・・・

お風呂イベントの「テルマエジャパン2020」に講師として今年も呼ばれてしゃべってきた。
自分は初日だったけど、2日目、3日目など連日続くお風呂系のセミナー。

おふろカフェ(埼玉)のヤマザキ社長

満天の湯(神奈川)のクゲヌマ常務

湯らっくす(熊本)のニシオ社長

の講演内容など聞くと「なんだかんだで日帰り温泉とかスーパー銭湯の業界はすごい人材がたくさんいるなぁ」と思う。

で少し話変わるんだけど、当日イベント会場でとあるメーカーさんに言われた。
「銭湯業界って規模小さいし、日帰り温泉業界とか旅館業界と比較したら草野球レベルって感じがあるじゃないですかぁ。だからうんぬん・・・」って。

西生さん、山崎さんなど、かつて共通のお風呂研究の場で何年にも渡り刺激しあったメンバー達。まだ誰も社長じゃなかったしずっと前の話だけど、あの頃からみんな異彩を放ち、今それぞれが代表取締役になって強烈な個性で業界をけん引してる。そして日帰り温泉業界は彼らのようなのがまだゴロゴロいる。

確かに銭湯業界より層が厚いというか、大きなお金や組織を動かしてたり、けっこう多店舗展開してたりと、実力ある人材は目立つわな。
うちだって話題・情報発信まだ微力だし、銭湯一軒あたりの年商も日帰り温泉では当然の1億円以上には及ばない。

ただ、だからといって銭湯が草野球レベルと言われたら何か釈然としない。

だいたい草野球に失礼だし、銭湯業界だって今まさにスゲー活発に動きはじめたところ。
我がニコニコ温泉株式会社も創業間もないながら、若い人材がメキメキ頭角をあらわしてるし、今月は10代20代の銭湯経営志す人材が数日で20名以上も応募してきてくれて「やばい、自分も負けちゃいられない」と武者震いしたほど勢いがある。

釈然としない気持ち。これはある意味怒りにも似た憤り(いきどおり)だ。普段おおらかなはずの自分もそういう感情はやっぱある。

ただ憤りにも「私憤(しふん):個人的な憤り」と「公憤(こうふん):個人の憤りを社会や世の中などに照らし俯瞰的に憤る」があって、どうせなら公憤として憤り、それを業界推進のエネルギーに換えてったほうが何かカッコイイ気がする。(いい事いったかも♪)。

そんなこんなで良き刺激を受けたテルマエジャパンイベント。
目の前の仕事(春までは廃業銭湯の復活事業と、若手人材の一騎当千化が中心)をコツコツ進めながらも、大きなテーマのひとつとして「ヒト・モノ・金・人材」を銭湯業界に増やすってのを公憤エネルギーで進めていこっかなと思ってる。

ふふふ、見ておれ、目にものみせてくれるぞよ♪

まがみゆうたろう

■ 借金だって「生き金」!

銭湯の経営を引き継ぐ。これ廃業した形のまま再開できれば、廃業→すぐに再開は可能。ただ廃業した姿のまま再開できる事って少ない。

理由はシンプルで、これは廃業した原因と直結している。銭湯が廃業する理由はいろんな人が様々述べてるけど、突き詰めればひとつ。

ズバリ、儲かってないからなのだ。よく聞く廃業の2大要因。後継者不足と施設老朽化もこれで説明がつく。

「後継者がいない」 ➡ 儲かってれば家族・親族が後継者になってくれる
「施設・設備の老朽化」 ➡ 儲かってれば投資して設備は新しくなる

客数が減り、売上が下がり、利益も下がり、キャッシュが減っていく。一定の水準を下回ると資金ショート。こうなると銭湯経営どころじゃなくなる。「ない袖はふれず。ただ去り行くのみ」で休業・廃業となってしまうのだ

銭湯は小規模事業とはいえ、市場原理・市場競争の影響はやっぱある。廃業するところもあれば、逆に勝ち残るところもある。
廃業するのは、客数、売上、資金力など総合力がエリア内で弱い方の銭湯。

総合力が劣ってたから廃業した銭湯。引き継いでそのまま即座に再開したらどうなるか。
そう、自分たちより強い数多の銭湯がいる土俵に、残りHP「1」みたいな状態で再び上がるようなものなのだ。

「お、また土俵に戻ってきたか、よしきた。
ハッケヨーイ、残った! ドン! 再び『死』みたいな。」

儲かってないから廃業した銭湯。儲からない形のまま蘇生させてはいけない。丸腰じゃあダメなんだ。

だから銭湯を再開させるときは、苦しくとも多少時間かかっても、廃業時のままではなく健全な状況に戻す必要がある。

健全な状態に戻すには、資金投入が伴う。わが社の場合、まぁ借金することになる。ただこの借金、壊れた設備を直すとか、仕方なく借りるとか、そんなネガティブなものじゃあない。

廃業で世間から消滅するかもしれなかった銭湯を活性化し、再び地域とともに長い歴史を歩むための積極的な借金だ。少々いやらしい表現をすれば客数売上を伸ばし、利益キャッシュを生み続けるためでもある。

お金には「死に金」と「生き金」ってのがある。未来へつながらないお金は「死に金」。だが、こういう生きるための借金、言い換えればワクワク未来のための借金は、金の中でも「生き金」だ。

生き金のための借金。銭湯というものには投入する価値はあると思う。きっと何倍もの生き残るパワーとなって帰ってくるはず(ニヤリ)

真神 友太郎(まがみ ゆうたろう)

■ 風呂を増やすのに本当に一千万円もいるのか?

東京品川区の西小山「東京浴場」。
廃業してからもう半年以上たつ。

経営引き継ぐことを名乗り出て、契約合意に至ったのは2019年11月。
あれから2か月。

再開はまだ先でやっとリニューアル工事開始の目途がたったところ。
ホントに時間がかかってる。

設備解明&故障修理。リニューアル内容の実現性の議論。東京浴場以外の銭湯のテコ入れや
次の銭湯引き継ぎの交渉などなど、時間かかる理由はつきないよ・・・。

そんな中、再開を託されたメンバー達は毎日コツコツと進めてくれてる。
彼ら彼女らも他銭湯の仕事と同時進行で、負担は大きい中で頑張ってくれてる。

一番時間かかってる理由のひとつに、営業再開にあたり浴場内の風呂をひとつふたつ増やそうとしているってのがある。

その構想、概算見積をとったらスゴい金額。ろ過機、ポンプ、チラー、温度管理、給湯設備とかなんだかんだで1500万円かかるって。

工事は他の箇所もたくさんあってこの見積だと工事総額は2500万円とかになってしまうのだ。
営業再開後はしばらく赤字が続くだろうし、何より資金繰りに影響が出る。

なんだかね~。やっぱり飲めない。変態的経営術とか言ってられなくなるし、もっと低予算でできる方法があるはず。

ポンプ20万、ろ過機50万など数十万円のパーツが4~5個程度組み合わさったら、
いきなり総工事費1000万円とかになるお風呂工事ってダメだ。

商売の規模の割に金かかり過ぎ。
他の方法を見出さなきゃ。


■設計さんと風呂工事の打合せ中

僕の好きなコスプレイヤー達は、あれだけクオリティと再現性の高さ、時にえちえちな雰囲気も醸し出しながら、知恵と工夫で想像よりはるかに低予算でコスプレを頑張ってる。

お風呂関係でいえば、東日本大震災時に手作り風呂を急遽作って被災地に行ったことがある。
自治体の許可ももらい、何よりかかった工事費は80万円だ。

サウナだって作ろうとしたら1000万円近くかかるって言われたことあるけど、テントサウナの出現で20万円で楽しめるようになった。しかも「持ち運べるサウナ」という革新的要素も引っさげてる。

設備の技術者じゃないし、お風呂工事の設計や工事だって素人で詳しい事よくわからないけど
とりあえず今回の東京浴場再開では言い続ける。

「150万円で新しい浴槽をつくる!」ってね。
そこに僕らの目指す変態的銭湯経営術の奥義とかが生まれるはずなのだ(決意)

真神 友太郎(まがみ ゆうたろう)

■文化を守るなら。

ここんとこ毎回コミケにサークル参加してる。
「ベンチャー企業の男子ども(略してベンチャー男子)」って銭湯ギャグのマンガ
描いて頒布してるんだけど、同時に銭湯関連のコスプレもやってる。

今夏は「銭湯のペンキ絵」になり、年末は「銭湯のカラン(洗い場)」になった。
こういうのメチャクチャ大事な活動と思ってる。

「銭湯は日本の大事な文化」という言葉を時々聞く。
文化を守りたいなら、文化を進化させ拡げる活動が必要。

銭湯というお風呂商売に、東京都の消費者が1年間に使ってくれるお金(市場規模)って
コミケのたった数日の市場規模にも及ばない!

銭湯の市場規模は、あまりに小さい!
これじゃあ守りたい文化も守れない!

ニコニコ温泉という会社の『銭湯経営術』では、自分の店だけ儲かる段階はマダマダ雑魚的なレベル。
銭湯という市場に、ヒト・モノ・金・情報、そして時間が、もっともっと流入されることを目指している。

これは普通の活動ではちょっと難しい。時間がかかりすぎる。
必要ならまだまだ変わったこと、変態的と思われる事もサッサとやらねばならないのだよ。

今のところ「アホなことやってるなぁ」みたいな意見をもらう事もあるけど、
真面目にやってるので気にならない(笑)。

真神 友太郎(まがみ ゆうたろう)

■銭湯の再生、もう一店舗はじまる⁉

しばらく書いてないうちに状況まったく変わった(苦笑)。
昭島の富士見湯の続き話は、いったんお休み。

半年前に営業をやめてしまった銭湯。
(東京品川区、西小山の『東京浴場』)
うちで引き継ぎ、再開させるべく今シコシコやってる状況に突入。

再開にも

 設備や配管の解明・修理

 そのまま再開だと浮上できない銭湯ならリニューアル

 仲間集め

など、やることテンコ盛り。
だいたい思うように進まない。

もうね、「フヘヘヘヘ…」って感じだね。
好きだった女の子にいいように振り回されてた懐かしい感覚を思い出す。

銭湯経営も、どこか心の機微と似たようなところあって、うまくいかずとも
「まったく手間かけさせやがって」みたいに、どこか気持ちよく微妙に快感な部分ある。

こういう状況を銭湯経営の世界では若干の変態性を帯びた、

「 『面倒見の良い兄とドジっ子妹』シツエーション 」

と呼ぶ。

いずれは良い方向に向かう。多分。

フヘヘヘヘ…

真神友太郎

■ガス代、電気代とかが払えない・・・

東京の銭湯とはいえ、もともと戦時中、日本軍の浴場施設として産声をあげたのがうちの銭湯。軍の飛行場の中に位置し、戦後は施設を日本陸軍(正確には建物の所有は当時の大蔵省)から銭湯を譲り受けたものの、周辺は広大な軍施設のまま。

今でも周囲に民家は少ない。
(代わりに何十ヘクタールもの空地や公設公園、自衛隊敷地がある 泣)

「え?東京でしょ。なんだかんだで周りに人住んでるでしょ?」と
よく言われるが、調べるほどに悲しくなるような人口規模。
そんな中での経営だけに、客数と売上は圧倒的に足りてなかった。

ただコストは違う。

銭湯経営を志す人がいるなら知っておくべきだが、その特徴としてお客様が多かろうが少なかろうが、
電気代や燃料代といった光熱費は、ほぼ変わらない。これが何を意味するか。

例えば台風で一日のお客さんがたった一人だったとしても、逆にいい感じの天気で100人だったとしてもその日の光熱費はほとんど同じ。

つまり、客数が全然増えずに月の売上がどんなに小さくかったとしても、翌月に支払わねばならない
燃料代や電気代は容赦なく冷酷に分厚い金額で請求されてくるのだ。

「まずい、このままじゃあ10日後の支払い期日までに現金が足りない!」

そう、いわゆる資金ショートってやつだ。

光熱費どころか、パートさん達への給料も払えない!
そんなことになれば、再生に向けてスタートしたばかりのこの銭湯は、またあっという間に廃業・倒産…。
いったい、どうすればよいのだ!

(続く)

■サバンナ銭湯やだ

月々の赤字は相変わらず続く。

お湯はちゃぷちゃぷ、あふれた洪水みたく湯船に毎日たまってて、お客さんカモン!と両手を広げてるのに、
お客さん増えない。
雨ごいしてるのに、店内はサバンナの乾季みたく雨降らない・・・。

こんな「サバンナみたいな銭湯」やだ!

叫んでもお客さん増えないし、仕方なく色々やりはじめた。

そういや銭湯が復活したこと宣伝してなかったな、ひょっとして近所の人たちって
富士見湯が復活したことまだ知らないじゃないか?

って事で、チラシをつくって近所に折り込んでみた。

さてどうなる?お客さん増える?

ある時、電話がなった。

「お?問い合わせか?」と受話器をとった。

(先方)「あぁ、富士見湯さん? あのね、チラシとか打ったらダメでしょ」

誰?この人?
何言ってんの?

(先方)「銭湯の業界じゃ、チラシは勝手に打たないことになってるの。知らないの?」

エリアによっても違うみたいだけど、要約するとスーパー銭湯とかじゃなくて、一般公衆浴場(いわゆる銭湯)は、
いろんなルールというか紳士協定みたいなのがあって、チラシも勝手にうっちゃダメ、という話。

まずい、このままじゃホントに干からびて、サバンナだ。

サバンナやだ! 雨降って洪水みたいにお客さんが来る銭湯がいい!

で、赤字も続き、開き直らなきゃいけない日が迫ってた。

(続く)

■ダメじゃん!

正式に銭湯を引き継いだ。

そん時の気持ちは例のあれ。
なんといーか、
意識高い系で若くして社長になった人とかが心の中で思ってそうな、

「とうとう俺も事業家か~。
 フフフ、ガンガン利益だして事業拡大してやるぜ~」

みたいな。

で、銭湯はじめた初月の業績結果。
「え~と、売上がこんだけで、原価はこんだけか~、
 おいおい意外と経費デカいね~」

言いながら、当然いい感じでスタートするでしょ、くらいな軽いノリ。

最後の利益の数値に目をやる・・・。

・・・最終損益・・・

   
  ▲250万円

  「 ん? 」

 隣にいたメンバーに聞いた。

 「この▲マークって、マイナスって意味だよな?」

つまり、よーするに、ズバリ、

「 ひと月で、250万円の赤字! 」

ダメじゃん! ぜんぜんダメじゃん! 
赤字も赤字、大赤字だよ! ど~すんだ? これ!

意識高い系、バリバリの事業家、俺ってイケてる?、
とかは全部吹き飛んで、むしろ夜逃げしたい気持ち。

「 やめよう、店たたんでトンズラ! バイバイ! 」

(こん時の本音は、ツイッターでもイラストつきで描いた)

一晩もんもんとして、浮かんだ考え。


「そりゃそーだ、よく考えれば銭湯だよ! 
世の中じゃ銭湯はドンドン廃業してるし!
そんな簡単に儲かるわけないし! 俺も儲かるわけないし(意味不明)!
最初はこんなもんだよ! あっはっは! 」

でもって、赤字ゆえの支払い不足、資金ショートする恐怖と戦いながら、僕の銭湯事業家としての日々がはじまった・・・。

(続く)

■銭湯やらない?

「銭湯の経営やらない?」

そう言われたのは2015年の夏ごろ。

仕事を4つくらい転々とした僕が、その後珍しく長く在籍した会社にまだいたころ。
部下を持ったり、プロジェクトチームを組んだりしながら、目まぐるしく働いてた。

自分が銭湯を経営するなんて、これっポッチも考えていなかった。

美女に囲まれてハーレムで一生モテモテで楽しく生きる、それくらい現実の自分のイメージからかけ離れた、銭湯経営の依頼と申し出。

珍しくまじめに一週間くらい考えた。

あれから3年。

今、僕は銭湯のベンチャー企業を率いて、東京と神戸などで銭湯を切り盛りしながら日々騒がしく生きてる。

以前の会社。始発の新幹線で出張し、クタクタで終電帰宅してた頃の仕事とは全く違う、風呂屋で働く自分がいる。

このブログは、かつて朝から晩まで企業に順応して生きてた僕が、ひょんな事から銭湯を経営することになり、歩きながらベンチャーやってる話をラフにつづります
(続く)